猛暑ですが、酸蝕歯(さんしょくし)の原因になりやすい飲み物にご用心。
連日の猛暑で、気温が41,1°Cを記録する地域もあり、暑いです。
これほど暑いと、冷たい飲み物を飲むことが多くなりませんか?
毎日、起床時、食事中、食後、休憩時、気分転換、お休み前など、好んで、無意識に飲むものはございますか?
実は、普段から好んで飲んでいる飲み物には、歯を溶かしやすい酸性度の高いものがあります。
歯のエナメル質は、ph5,5以下で溶け始めます。
むし歯菌が歯を溶かすだけでなく、酸性食品によっても
歯は溶けてむし歯の様なダメージを受けてしまいます。
これを酸蝕歯(さんしょくし)といいます。
下記は一般的な飲み物のPhを示す一覧表の一部です。
クインテッセンス出版株式会社:飲食物で歯が溶ける?!酸蝕から歯を守ろう!より一部抜粋


下記の写真の方は、普段はミネラルウォーターを好んでいましたが、猛暑の影響で熱中症を恐れ、人生ではじめてスポーツドリンクを摂取しました。ほぼ1か月程度はよく飲んでいたそうです。


酸蝕歯(さんしょくし) の怖いところは、ご本人が痛みやしみる等の気付きが少なく、多数の歯が飲食物の酸によって広範囲なダメージを負うところです。
患者さんご自身は歯が溶けているとは思わず、歯の表面の変化を「歯が茶色く汚れてきた」「前歯が汚いからクリーニングしてほしい」とお話しされることもあります。
柑橘類のジュース、炭酸飲料(無糖も含む)、スポーツドリンクなどは、ph5,5以下の商品がほとんどです。美味しいですが、歯の健康のためには、程々にしましょう。
ここまで読むと、のどが渇いても飲むものが何も無い!つまらない!ですか?
確かに患者さんの表情が暗く、寂しそうな雰囲気になることもあります・・・。
しかし、市販の飲み物にはPhと同様に気を付けなければいけない糖分の問題もあります。冷たい飲み物は美味しく感じられるように、多くの糖分が含まれ、甘く作られています。試しに常温で飲んでみると、その甘さが美味しいとは感じにくいはずです。
糖分は、むし歯の原因にもなります。
歯の健康という観点からは、ミネラルウォーター、無糖のお茶類が無難です。
就寝前に、酸性度の高いものを飲食した際は、必ず歯を磨いてからお休みください。その際は、歯を酸のダメージから守る役割のフッ素入りの歯磨き剤の使用をおすすめします。フッ素の含有量を多く含む製品があるので、歯磨きに取り入れてみてください。

当院では、定番商品中心にフッ素入りの歯磨き剤を置いています。

大人で酸蝕歯、むし歯の多発は、生活環境や習慣、食生活の変化が多いです。

当院は「むし歯は、見つけ次第、今すぐ即治療」という歯科医院ではないので(状況に応じて応急処置後、本格的な治療は別日)、最初に唾液検査を行い、生活習慣アンケートの記入後、現状の立ち位置や今後の改善策をお伝えします。
ここで、ご本人に問題点をご理解頂かないと、どんなに良い治療をしても、酸蝕歯やむし歯の問題は解消せず、短期間で歯を治療し続けるサイクルになってしまい、結果的には、早期に歯を失う可能性が高まります。
治療も大切ですが、しっかりとした知識もお持ち帰りして欲しいので、唾液検査と生活習慣アンケートは合計20分程で行っています。
酸蝕歯、唾液検査の過去のブログはこちら
一番危険な習慣は、だらだら食べて飲むこと。