奥歯の歯を出来るだけ残すダイレクトボンディング その5
ダイレクトボンディングはレジンを接着するだけなら、保険内でレジンを詰める治療と変わらないと思われる方もいらっしゃりますが、治療手順が全く異なる治療です。従って、 ダイレクトボンディングは、保険では賄えない自費治療となります。
保険治療は、治療にかける時間と、術者の技術料金は全く含まれません。
患者さんの治療に使われる材料も、国に決められた限定されたものになります。
それに対して、自費治療では保険の制約を受けないため、患者さんの1回当たりの治療時間を多く取り、 術者がマイクロスコープやルーペを用いた精密な治療を行えます。 また、材料や術式も欧米におけるグローバルスタンダード基準を取り入れる事が出来ます。
今回の患者さんは、むし歯が奥歯に出来ているため、2通りある治療方法(保険治療、自費治療)から、自費治療のダイレクトボンドを希望されました。
治療で一番優先したいことが、自分の歯を削る量を少なくしたいことでした。
ダイレクトボンディングを行うには、以下のテクニックを大切にしています。
*ラバーダム防湿を使用して唾液から防湿します。

*マイクロスコープやルーペで、裸眼に頼らない精密な治療をします。
むし歯の取り残しは、更なるむし歯を誘発するので、染色液で確認除去する。
歯を削るドリルは、出来るだけ極細サイズ。 ドリ ル以外は、手用エキスカベーター、超音波チップを使い、健康な歯を削りすぎないようにしています。

左側:0,5ミリのシャープペンの芯。
右側:通常のバーのサイズ。
真ん中:左右のどちら側よりも先端が細い極細。

1.むし歯を染色するう蝕検知液。
2.超音波チップ。
3.スプーンエキスカベーター。

写真では、むし歯を除去した後に、レジンを接着出来るように、歯のまわりに様々なパーツで取り囲んでいます。また、レジンの接着時に、歯と歯の間にすき間が出来ないようにします。


レジン接着後は、フロスの通り具合、かみあわせのチェックをします。
当日は麻酔を使用しているため、別の日に麻酔の感覚がない状態で、最終的なかみあわせのチェックと磨き上げる研磨を行い、終了です。

ダイレクトボンディングは出来るだけ歯を削らない治療法として脚光を浴びていまが、同時に、ダイレクトボンディングへの考え方も様々あります。
レジンを接着するだけと言われればそれまでですが、そのレジンを接着するまでの段階的なプロセスを踏むこそが、患者さんの歯を出来るだけ削らないで残してあげられることや、治療後の耐久性、自分の歯の長持ち度に貢献出来ることと思います。ダイレクトボンディングは、やり直しの少ない治療に入ります。
また、歯科においては、治療で使用される金属がアレルギーの原因になることもあります。お口の中で溶けだした金属によって、湿疹等が全身に出たりします。世界的には金属ではなく、アレルギーの少ないセラミックやレジンの材料に移行しています。ダイレクトボンディングもアレルギーを発症させない、有力な 治療法の一つになります。
ダイレクトボンディングに関する過去のブログはこちら
ダイレクトボンディングの秘密 その3