かぶせ物を入れる前の大切な処置 その2
前回は、①と③の治療について説明しました。
今回は、②の治療について説明します。
②の歯については、レントゲン上で神経の処置は問題が無い事と、かぶせ物も除去してから、むし歯の部分だけを染めて判別することが出来るカリエスディテクターを使用してむし歯の範囲を確認しましたところ、表層のみに限局していましたので、その部分を一層削って前医が施術した金属製の土台をそのまま利用しました。また、この②の歯は、かなり大きな金属製の土台が入って、この状態から土台を除去しますと、残っている歯がさらに薄くなり、かぶせ物を入れた後に歯が割れてしまう遠因にもなりますので、これらの事を患者さんにご説明・納得して頂き、今回はそのままで治療を進めました。
様々な治療法の中から、そのメリットとデメリットを考慮して、最善な治療法を選択するか、また、そのことを患者さんと共有して治療を行う事は非常に大切です。
歯の色調回復の観点からは、金属製の土台とセラミック製のかぶせ物との相性はあまり良くないのですが、今回は、かぶせ物で回復する歯の色が、抜ける様な透明感が強くなく、色調に影響が出ないので、金属製の土台をそのままで利用しました。上の写真の様に、ファイバーポストコア自体にも光を透過する性質がありますので、透明感が強いかぶせ物を作製する時は、土台にファイバーポストを使用するのが第一選択になります。
①と③は、土台を新規で植立する必要があつたので、ファイバーポストコアを選択しました。
この様に、かぶせ物を接着する前に、歯科用顕微鏡マイクロスコープや拡大鏡ルーペを使用して行う精密根管治療や虫歯の徹底的な除去により、個々の歯の問題を解決することは大切です。一つ一つの完成度を高める事によって、将来発生するかも知れないリスクを回避して、治療のやり直しを防いで歯の寿命を延ばすことが期待出来ます。自分としては、これも広い意味としては予防な処置と考えています。
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