歯石除去は歯の表面だけではありません 検査編

歯石は、目に見える歯の表面だけにあると思いますか?
実は歯ぐきの内側である歯周ポケット内に、多くの歯石が潜んでいることが多いです。

今回は、起床時に歯ぐきから出血があると訴えた患者さんのケースです。

歯周病が疑われるため、最初に5つの検査を行いました。
1、レントゲン撮影(精密な画像10枚は必要)
2、歯周ポケットの深さ計測(1本の歯について6か所)
3、歯の揺れ具合
4、歯ぐきからの出血の有無
5、お口のカラー写真撮影

患者さん自身が、歯ぐきを外側から見ることは出来ても、歯周ポケット内を見ることは出来ません。
歯周病が進行すると、歯ぐきの炎症が発生して、歯周ポケットが深くなったり
歯ぐきからの出血や歯の動揺があるので、これらを検査します。
歯周ポケットを計測するときの数値が重要。一般的には、4ミリ以上は歯周病のケアの対象です。

検査の結果、目に見える歯の表側だけでなく、歯周ポケット内にも多量の歯石が付着していました。下記の説明図の様にリング状に歯を一周して付着していました。このまま放置して進行すると、多数の歯がぐらぐら揺れて抜歯になってしまう程の重症なケースでした。

歯周病が進行すると、歯周ポケット内に歯石が付着して、歯ぐきも痛んできます(右側)

検査を行い、目で直接見えない、歯周ポケット内の状態を知る事は大切です。
何の科学的根拠もなく、ポケット内の歯石を除去しても、経験や勘だけでは歯石をとりきれません。その結果、歯周病はすぐに再発して悪くなります。
検査結果をお知らせすることは、患者さんにとって、現状を理解して頂くだけでなく、歯周病の治療方針を決めるために大切です。
歯周病はすぐに治療して終わりではなく、その後の再発を防止して現状維持するために、ケアが必要です。

当クリニックが、即、経験と勘に頼る治療に入らず、検査を行い患者さんとご相談の上、治療を進めることを重要視しているか、ご理解頂けたでしょうか。

大事なことなのでもう一度言います。
成人のほとんどの方が多かれ少なかれ、罹患している歯周治療の第一歩は、目で直接見えない、歯周ポケット内の状態を知る検査が重要なのです。

治療編に続きます。