仮歯が果たす重要なこと シュミレーションは大切!

 かぶせ物で治療する際に、治療を成功に導く大切なプロセスがあります。今回は、かぶせ物を作製する前の前準備として、ワックスアップ模型(モックアップ)と仮歯(専門用語でプロビショナルクラウンといいます)について説明します。

術前の写真です

今回、矢印のある3本の歯を治療していきます。虫歯、歯の色調、歯の形や向きなど色々な問題があります。最終的には様々な問題を解消出来る、かぶせ物による治療を患者さんに提案しました。

でも、かぶせ物で治療すると言葉で言われても、なんとなく良くなりそうな感じがしますが、あまり具体的なイメージがわかないと思います。そこで、実際に治療に入る前に、将来的なかぶせ物がイメージし易い、ワックスアップ(モックアップ)模型を作製します。

ワックスアップ(モックアップ)模型

この様にワックスアップ(モックアップ)模型を作製することで、具体的なイメージが湧いてきたかと思います。患者さんの期待度と実際の仕上がり度の差が発生することもありますから、その差を縮める意味でもこのシュミレーションは重要です。

この模型は患者さんのプレゼンのためだけでなく、診断のためにも重要です。適切な歯の大きさや長さ等の形態、スムーズに顎が運動出来る咬み合せ、全体のバランスなどを様々なチェックポイントを反映した模型を作製します。そうする事で将来的なかぶせ物について、これだったら大丈夫そうだという目処をたてます。

このまま治療を進めていく了解が得られましたら、先ほどのシュミレーションを実際の口腔内に置き換えていきます。具体的には、ワックスアップ(モックアップ)模型と同じ形を持ったプロビショナルクラウン(仮歯)を入れていきます。

プロビショナルクラウン装着時

プロビショナルクラウンを装着して、外見的な形態と機能的な咬み合せを調整して造り込んでいきます。今回は、予約時間中に自分で作製しましたが、より形態や咬み合せが難しい場合は、型取りをして技工士さんに完成度の高い2度目のプロビショナルクラウンを作製することもあります。(これを専門用語でセカンドプロビといいます。)
プロビショナルクラウンで問題ないところまで詰めましたら、装着した状態で型取りして、参考用模型を作製します。この模型が最終的なかぶせ物の見本となり、この模型を参考にして最終的なかぶせ物を技工士さんが作製します。

最終的なかぶせ物をセット

かぶせ物を作製するいう事は、ある意味、全く何もないところから物を造っていく事になります。しかし、いきなり型とってポンとかぶせ物を作製しても、何も無いところから故に、難しいケースも多々あります。そこで、製作過程の中間に、ワックスアップ模型とプロビショナルクラウン作製を入れることにより、将来的なかぶせもの完成度を高めることが出来ます。当クリニックにおいては、咬み合せの難しいケースや審美的に要求されるケース、多歯に亘る全顎的なケース等においては、上記の手法を取り入れております。

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