MTAセメントで歯を残す

画面左端のMTAセメントと詰めるための道具類

 MTAセメントを治療で適切に使用することにより、治療の成功率が高まり、歯を長持ちさせる事が可能になります。使用方法は主に2つに分けられます。

 1つは、むし歯が深く神経を除去するかしないかのボーダーな場合において、神経の温存率を高めるために詰める方法。2つめは、神経を除去した歯の根の治療に使用する方法の2種類が当クリニックではあります。

 どちらの術式に足しても、唾液中の細菌から感染を防ぐためにラバーダムを装着して、視野を拡大するためにマイクロスコープを使用して確実に詰めます。「詰める」作業は、ラバーダム無しでは、唾液等が感染源になるので、詰めても意味はありません。また、マイクロスコープ無しの裸眼では、深層、深部が見えないので、ありえません。グローバルな世界では、当然、マイクロスコープを診療に使います。私個人も、グローバルな世界の診療基準でありたいために使います。

マイクロスコープとラバーダム

 MTAセメントは、1g当たりの価格はゴールドよりも高く高価ゆえ(2020年1月現在)、自費扱いとなります。このMTAセメントは数多くのメーカーから発売されています。何を使うかは各個人の考え方に委ねられますが、歯の変色(歯の根元がグレー、茶褐色になる)を起こしやすいといわれるものもあるため、経年的に変色を起こしにくいといわれるものを使用します。特に前歯に使用後の変色は、健康に害はなくても、お互いに残念な気持ちになるので、そういったものは使用しません。

 前述した1つめのむし歯治療に際しては、治療を始める前に、MTAセメントを使用してよいかの同意を得てから、むし歯を除去していきます。何故なら、治療をはじめてから、自費に移行するのは保険の制度上の制約で不可なこと、ラバーダム無しではじめているのに、同意を得てからラバーダムをするのは、良い治療結果にはつながらないからです。ご了承願います。