歯石除去は歯の表面だけではありません 治療編
歯ぐきの内側の歯周ポケット内に潜む歯石は、歯周病の原因になります。
前回は、歯ぐきの検査を行いました。
歯石除去は歯の表面だけではありません 検査編
今回は、当院の歯石除去は歯ぐきの内側(歯周ポケット内)にもアプローチする、歯周病のケアーも考慮したクリーニングについて説明します。
一通りの問診後、これまでの歯科医院での歯周病の説明、歯石除去の施術経験を、ざっくりとお伺いしました。
患者さん:以前も、歯石除去をしてもらいました。
院長(自分):どんな感じで行われました?患者さんへの1回あたりの時間、費用は?
患者さん:大体、10分?詳しい歯石の説明とか、そんなものはなかったかな。まぁ、自分が聞いていないだけかもしれません。費用は保険かな?保険と自費の違いの話はなかった。
その後、歯周病とは何か、患者さんの歯周病がどの程度進行しているか、今後の歯周病治療の内容をお伝えしました。
治療は、保険か保険外の自費のどちらかを選んで頂きます。
歯科は医科と異なり、より良い結果を望まれた場合、保険内の治療でカバー出来ない事が多いためです。
当院では、保険、保険外の違いを下記のようにお話します。
保険内:保険の規定に則り、全国一律、同じ内容の治療内容になります。特別に優れた内容、スペシャルなテクニックなどはありません。今回の歯周病治療においては、保険のルール上、段階的な短時間の施術と、複数回の来院が必要となり、治療期間を要します。
保険外:保険の制約が無いため、個人の状態にフォーカスして、カスタマイズした治療を提供出来ます。1回あたりの長い施術時間を確保して、従来に比べると来院回数を減らせます。またマイクロスコープ、ルーペを使用した精密な治療や、保険外の技術と薬品などを使えます。その結果、より良い治療法を選択することは、より良い結果を得られやすくなり、治療の結果もより早く出る事により時間を節約し、治療後に起きがちな再治療などのトラブルを限りなく減らせるメリットがあります。
患者さんの望みは、コロナ禍のご時勢で、外出のために何回も通いたくない。 出血改善が目的で、 早く結果を出したい。 時間優先 で1回あたりの施術時間は長くしてほしいとのこと。施術時間に制限のない、保険外の自費クリーニングを選択されました。
患者さんの歯周ポケットの深さ、痛みを感じにくくする麻酔の処置等、1本の歯にかける施術時間を考慮して、永久歯28本の合計で5時間を予定しました。
歯石を除去するキュレットと呼ばれる道具を手に持ち、マイクロスコープやルーペを見ながら、ていねいに行います。
歯周ポケットから、歯石がゴロゴロと出てきました。
なぜ、歯石除去に5時間も時間がかかるのか?
目に見える歯の表側だけでなく、歯周ポケット内にも多量の歯石が付着していました。長い年月をかけて溜まった、歯周ポケット内にある硬い歯石を1本の歯ごとに除去するのは、簡単ではありません。歯石を除去するとは、大きな塊だけ除去するのではなく、肉眼では見えない極小な歯石が付着して表面がガサガサしている根面を、手用器具のさわり具合を感じながら表面をつるつるにしていきます。この微細な作業を行い根面をツルツルにしないと、歯ぐきの炎症が収まらないだけでなく、再び歯石が付着して直ぐに歯周病が再発してしまいます。
一通りの治療が終了後、起床時のお口の中の出血が改善されました。
~今までも歯科医院では、治療や歯石除去があり、先生方に終わったよと言われれば、問題なく終わったと思っていた。だから、歯ぐきとか歯周ポケットの中の歯石には誰も気付いてくれなかったのかと、そこまで見てくれていなかったのかと残念です~と、患者さんはお話されました。
過去に患者さんがどのような歯科医院で、どのような内容の治療やケアを受けられたかは、私自身が直接見たことはなく詳細は分かりません。しかし、今回分かった歯周病に対して、本腰を入れて治療しなければ、近い将来で、自然に抜歯してしまうほどの事態になっていたことです。
歯周病がひどくなると、口臭、歯ぐきからの出血や歯の揺れが出てきます。
おかしいなと感じたら、とにかく早めに、歯科医院に連絡をしましょう。
歯石除去、クリーニングに関する過去のブログはこちら