マグネットを入れた義歯
義歯を新しく製作せずに既存の修理をして、上下左右のかみあわせのバランスを均衡に取ることで、食事時の不満を解消し、結果的には見た目の改善も図りました。
義歯は就寝時以外、お口の中に入れる時間が長く、咀嚼に耐えられること、不快感がないことを求められるため、最初にお口の中の検査や、使用されている義歯の記録を取ります。
検査結果を分析後、現状の義歯にどのような問題があり、それを解決する治療プランを提示して、治療期間や費用についてのご説明をします。
今回の患者さんは、義歯での食事の際にしっかりかめない、義歯が合わないという思いがありました。
とんかつなどのお肉類が上手くかめないストレスがあり、出来るだけ早く解決したいというご本人の思いと、付き添いのご家族も、母の食事の辛そうな姿を見るのは忍びないということでした。
現状の義歯の主な問題点
1.義歯の上下左右のバランスが悪いため、カタカタして安定しない、左右のどちらかに片寄ってしまう。
2.上下義歯の咬み合せが低くなっているため、お口の周りにしぼんだ様なしわが出来ています。口を開けた時に、上顎の前歯がほとんど見えないため、表情的にも乏しいように見えます。
通院回数の制約があるため、現在ご使用の義歯を修理改造して治療しました。患者さんは、上下共に従来の義歯の厚みを嫌がられ、上あごまで覆う形は望まれないため、なるべく歯の形に沿い、範囲が小さくなるように修理しました。
既存の義歯がマグネットによる維持装置が入っていたため、磁石をより強力なものに変更して維持力を高めました。
義歯の面積が減少すると吸着力も減少しますが、義歯にマグネットを入れて、残った歯に磁力で貼りつき、減少した吸着力を補います。
新義歯の調整後。
義歯の高さを適切に出す修理で、咀嚼機能の改善だけでなく、口元の印象を改善することが可能です。
来院回数の制約から、今入っている義歯を直接改造して治療しましたが、最近では、現在入っている義歯と同じものを複製(コピーデンチャー)して仮義歯を作製します。この事により現在入っている義歯を触らないので、治療の融通性が高まります。最終的な本義歯の作製は、仮義歯に手を加えて治療を行い、あらかたの問題点が改善された時に行いますので、滞りなく治療がすすみます。
ご注意:ご来院された患者さんは、コロナ等の問題が発生する前に治療を終了しています。現在、不要不急の外出は控えるべきですが、歯科医院での治療を必要としている方もいらっしゃいますので、当院では、この時期に問題が発生した患者さんに対しては、今後の治療を継続するか、いったんお休みして、タイミングを見てから治療を再開するかの選択をお選び頂いています。
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